Asia Trip

アモイ「鷺江(ルゥジャン)」のプロムナード。対岸にコロンス島が見える

 照り付ける強い日差しに木々が黒い塊のように浮き上がり、強烈なコントラストをつくる。アモイ島随一の繁華街、中山路の歩行者天国を東南に突き進むと、ふ頭のあるプロムナードに出る。手前の広場では老人たちが工夫茶を飲みながら囲碁や将棋に興じ、海上では観光客相手のモーターボートから歓声とともに水しぶきが上がる。長雨続きだったアモイに訪れた久しぶりの晴れ間を、誰もが楽しんでいる。  
プロムナード付近には巨大なオフィスビル。経済特区としてのもう一つの顔がのぞく

 ふ頭からは対岸の鼓浪嶼(コロンス島)行きの連絡船が出ていて、船上から「小金門が望める」というのが売りになっている。小金門は金門島に寄り添うように浮かぶ台湾の小島。1949年に国民党が台湾に退くと、アモイ島と金門島は人民解放軍と国民党軍の前線となり、激しい攻防が繰り広げられた。船内では双眼鏡が有料で貸し出され、皆がデッキに群がる。だが、見えるのは薄ぼんやりとした海と空だけ。昨今はスモッグの影響で金門島が拝める日は少ないようだ。

コロンス島に立つ鄭成功の石像
コロンス島は面積二平方キロメートルにも満たない島だが、かつての列強支配による洋館が残り、ノスタルジックな雰囲気が観光客を引き付ける。島には土産物屋が立ち並び、休日はツアー客で芋を洗うような混雑ぶり。満州族が統治する清朝の成立に抵抗した鄭成功の像と記念館もある。この時代に鄭成功とともに台湾に渡った福建人たちの子孫が、現在の内省人と呼ばれる人々だ。

 アモイ島の観光地はこのほか唐代の仏教寺院「南普陀寺」など。地下鉄はないが路線バスとタクシーを使えば足に困ることはない。バスは一律一元。中山路と会議展覧中心を結ぶビーチ沿いの道はアモイ人お薦めの景観コース。路線バスから海を眺め、途中下車して砂浜を散策するのもいい。

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