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広東省一美しい村「馬降龍」に建つ碉楼「林廬」。風雨に晒された壁が歴史を物語る

開平市には1833 軒の碉楼(ちょうろう)と3060 の村落が現存する。このうち三門里村落、錦江里村落、自力村村落と方氏灯楼、馬降龍村落の4カ所が2007年6月に世界文化遺産に登録された。観光案内などでは自力村と馬降龍に立園を合わせた4カ所が比較的回りやすいポイントとして紹介されることが多い。

「広東省一美しい村」といわれる馬降龍。竹林に囲まれた人口500人余りのこの村にも数多くの碉楼が残り、その一部には今も村人が暮らす。ここでは、政府が管理する「駿廬」と「林廬」が内部見学を許されている。

広東省一美しい村と称される馬降龍

碉楼は林や田畑の中に分散して建つ。駿廬と林廬も林の中にあり、2軒の距離は歩いて約10分ほど。ともに強固な石造り、頑丈な鉄窓、盗賊を見張るための見晴らし台が設置されている。これは碉楼に共通する特徴で、開平が水害の多い地であり、治安も悪かったことによる。馬降龍でも水害が頻繁に起きていたようで、1963~68年に3回発生した大規模な洪水の際は、村人が「天禄廬」という碉楼に登って難を逃がれた話が残っている。

駿盧の外観

駿盧の裏手に建つ碉楼

土地柄、共通した特徴を持つ半面、碉楼の外観はどれも個性的だ。これにも理由があり、誰もがほかの家とは違う意匠を凝らした外観で一族の繁栄をアピールしたいと願ったことによる。
建築中はデザインをまねされないよう覆いをして工事を行ったことからも、この地の華僑にとって碉楼がいかに輝かしい富の証しだったかがうかがえる。

林盧の2階。柄入りタイルの床は当時としてはかなりモダンなものだったと思われる

駿盧1階の階段付近。先祖の写真が飾られている

内部の構造も当時の文化を反映している。碉楼は通常、3~4階建てだが、これは水害に備える以外にも階ごとに第一夫人、第二夫人といった具合に妻を分けて住まわせるためでもあった。当時の中国は一夫多妻制が許されていて、かなり裕福な家には第四夫人までいることも珍しくなかったそうだ。この馬降龍から車で20分ほどの所には、かつて映画のロケ地としても栄えたいにしえの街、赤坎がある。

林盧。台所の窓から差し込む光

※深圳からのアクセス
開平行きは羅湖商業城1階の羅湖バスターミナルから大型バスが出発している。開平までは約285キロ、約3時間30分。地下鉄1号線竹子林駅前の福田バスターミナルからもバスあり。赤坎や 馬降龍などへは開平市から公共バスかタクシーを利用。開平市の繁華街にあるバスターミナル開平汽車站(総站)か市北部の義祠汽車站から各地へ行くバスに乗 車。タクシーは郊外の碉楼群観光のために貸し切ることもできる。交渉制で相場は3時間300元以上。現地にはバイクタクシーもある。

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