基本情報

広東省

 改革開放の前線基地 故・鄧小平氏が唱えた改革開放により、深圳・珠海・汕頭の3つの経済特区を有する広東省は、世界の工場・中国のものづくりを最前線で支え、目覚ましい経済発展を遂げてきた。以来、特に1990年代中期を過ぎたころから、台湾との経済協力が進み、台湾系企業の投資が最も集中する地域の一つとなった。台湾投資は紡績、衣料、プラスチック、化学工業、電子、金型、精密機器、光学器械、IT産業およびコンサルタント、ニューエネルギー、農業、サービス業など多岐にわたる。

ASEANのゲートウェイ

 広東省はASEAN(東南アジア諸国連合)に隣接し、中国本土の中でも華僑を多く生み出した背景から華僑投資が活発に行われている。特に広東省の潮汕( 潮州・汕頭)と五邑、福建省の閩南地域は「全国三大華僑の里」と呼ばれるほど。また、華南地域と西南地域の物流の中継地であり、香港・マカオとの経済協力も汎珠江デルタの中では最も緊密。ASEAN輸出のゲートウェイという優位性も手伝い、その発展のスピードは本土の中でも際立っている。

交通インフラと大珠江デルタ

 汎珠江デルタ間での経済協力をさらに強固にすべく、広東省では橋梁や高速鉄道などの交通インフラの整備を推し進めている。さらに前海、南沙、横琴の3つの新区を建設することで、金融、物流、コンベンションなどの各種サービスを強化し、汎珠江デルタの中枢機能の強化に努め、CEPA(香港と中国本土の経済貿易緊密化協定)においても大珠江デルタ(広東省と香港・マカオ)の概念の下、最も緊密な協力関係を築いている。

文化飲食

 広東省の主な言語は広東語だが、福建省に隣接する潮州では潮州語が、客家が多く暮らす梅州などでは客家語が使われる。また地方からの出稼ぎ労働者などで形成される深圳市では広東語よりも普通話(北京語)を話す人が多い。 水陸の交通が発達した同省は、中国各地の料理の粋を集めた独特の食文化を築いた。本土の中でも多彩な食文化を有し、古くから食への探究心が最も強い地域として知られる。中でも広州人は「4本脚のものは机以外、飛ぶものは飛行機以外、食べないものはない」といわれる。

 料理は基本的に素材のうま味を生かしたあっありした味付けが多い。オイスターソースなどを使うのも同省ならでは。ただ、潮州料理や客家料理は濃いめの味付けのものも多い。郷土料理は広州なら飲茶、潮州なら「魯味」、客家なら「梅菜扣肉」など。結婚式などお祝いの席では子豚の丸焼き「乳猪」が欠かせないものとなっている。

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